【長野県松本市の税理士が解説】認知症と介護のお金の問題と対策
長野県松本市の税理士、行政書士の奥原です。
「父さん最近物忘れが多くなったな……」「母さん同じことを何度も言うようになったな…」
お子様の中には、親御様に対しそう感じることがあるかもしれません。我が国では現在65歳の高齢者のうち、約1/5が認知症若しくはその予備軍といわれています。認知症は決して珍しくなく、皆様のお知り合いにも認知症の方がいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、認知症や介護はそれに関するお金の知識があるかないかで、家族の負担が変わることが珍しくありません。
逆に、何の対策もせずに放置していると、ある日突然「親の銀行口座が凍結された」「親が加入していた生命保険の存在を誰も知らず、請求すらできなかった」という事態に陥るリスクもあります。
今回は税理士の視点から、認知症や介護で知っておくべき「費用のリアル」「今すぐやるべき口座凍結・生命保険対策」をわかりやすく解説します。
1. 認知症介護の「費用のリアル」:いくら準備すればいい?
まず、認知症や介護には一体いくらのお金がかかるのでしょうか。
一般的な介護費用の相場を「在宅(自宅)」と「施設」の2つのパターンで見ていきましょう。
介護期間全体の平均額は「約500万〜550万円」
介護にかかる費用の全国平均は以下のようになっています。
これらを単純計算すると、約500万〜550万円が介護費用のひとつの目安となります。
「在宅介護」と「施設介護」の月額費用比較
ただし介護の形によって、月々のランニングコストは大きく変動します。
�@ 在宅介護:月額 約5万円前後
�A 公的施設(特別養護老人ホーム:特養など):月額 約8万〜15万円
�B 民間施設(認知症グループホームや有料老人ホーム):月額 約12万〜25万円
税理士のアドバイス:
介護費用の原則として「親の年金と親の貯蓄」の範囲内で収めるのが鉄則です。この範囲内で介護の選択をしていきましょう。子どもの生活費を削って親の介護費に充ててしまうと、共倒れのリスク(介護破産)が高まります。まずは親にどれだけの資産があるのかを把握することから始めましょう。
2. 現実的に一番キツイ「親の口座凍結」とそのリスク
認知症や介護において、費用そのものよりキツイのが「銀行口座の凍結」です。
なぜ口座が凍結されるのか?
銀行は、預金者が認知症になり「自ら意思決定ができない」と判断した場合、犯罪被害や親族間のトラブルを防ぐために、口座を凍結(取引停止)します。
この状態だと、たとえ実の子どもであっても、親のキャッシュカードを使ってお金を引き出すことが原則できなくなります。窓口で「親の介護費用につかうから」と説明しても、本人確認が取れなければ拒否されてしまいます。
口座が凍結されるとどうなる?
親の口座が凍結されると、以下のような問題が発生します。
結果として、子どもの負担が増えるケースが後を絶ちません。
3. 【時期別】税理士が推奨する「口座凍結対策」の選択肢
口座凍結を防ぐための対策は、「親の認知症がどの程度進行しているか」によって選ぶべき手段が全く異なります。
【パターンA】親がまだ元気、または軽度(MCIなど)の場合
親の意識がしっかりしており、契約内容を理解できる今こそ、最も選択肢が多く、費用を抑えられる対策が可能になります。
�@ 民事信託(家族信託)
�A 任意後見制度
�B 銀行の「予約型代理人指名サービス」
【パターンB】すでに認知症が進行し、意思疎通が難しい場合
すでに親の判断能力が失われている場合、上記の「家族信託」や「任意後見」の契約を結ぶことはできません。
この場合は、以下の方法をとることになります。
�C 法定後見制度
�D 全国銀行協会の指針に基づく「緊急引き出し」
4. 盲点になりがち!親の「生命保険」が認知・介護に直面する家族を救う。事前に確認すべき2つの制度
前述のとおり、銀行口座は認知症により凍結し引き出せなくなることをお伝えしました。そのとき効力を発生するのが生命保険です。
介護や認知の場面で役立てるために事前に確認しておくべき生命保険の2大制度を解説します。
�@ 指定代理請求制度(家族が代わりに申請可能)
通常、生命保険の給付金(入院給付金や介護一時金など)は、契約者である「親本人」が請求しなければなりません。しかし、親が認知症になってしまうと、自分で書類を書いて請求することができなくなります。
そこで活躍するのが「指定代理請求制度」です。
�A 保険料払込免除(保険料の支払いが免除になる特約)
医療保険やがん保険、一部の終身保険には、「保険料払込免除特約(P免)」がついている場合があります。
5. まとめ:税理士が教える「今すぐ実践すべき3ステップ」
認知症と介護とお金の問題は、「後回しにするほど選択肢が減り、家族の負担が増える」という特徴があります。
親の物忘れが気になり始めたら、次の3つのステップを今日から進めてください。
【ステップ 1:親の「財産・保険」をリスト化する】
通帳の保管場所、加入している生命保険の証券を集めて内容を確認する。
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【ステップ 2:元気なうちに「家族信託」や「指定代理請求」の手続きを】
まだ意思疎通ができるうちに、銀行の各種サービスや生命保険の指定代理請求人を登録し、将来の凍結・請求不能を防ぐ。
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【ステップ 3:介護が始まったら「免除特約」の申請を】
保険の払込免除に該当しないか確認してください。
介護は突然始まります。しかし、正しい知識を持って事前に備えておけば、経済的な不安の大部分は解消できます。
より具体的な資産規模に応じたシミュレーションや、相続税対策も含めたご相談は、あずさ税理士法人までお気軽にお尋ねください。